2014年8月放送の「もて声倶楽部」に提供したボイスドドラマ用のシナリオです。

朗読劇、ボイスサンプル、劇としての上映、映像化、オーディオドラマ化、YouTubeの動画のシナリオとしてご利用いただいて構いません。
特にご連絡いただく必要はありませんが、作品として公開されるのでしたら、教えてくれたら拝見させていただきます。

※著作権は放棄していません。
※シナリオそのものを配布したり、販売するのはご遠慮ください。
※こちらのシナリオを利用したことによって生じた不利益等には保証を行いません。
※商用利用の場合は、お手数ですがご一報いただけると助かります。

◯人物
小生

※ 共に30歳前後をイメージ。


男「ども。久しぶり」

小生(MO)「都内のタワーマンションに住む小生の元に、電話があった」

男「元気してた?あ?なに?聞こえないよ?え〜?ナンだってぇ?」

小生(MO)「何も言ってない」

男「もしも〜し」
小生「あの。どなたでしょうか?」
男「どなたって。オラだよ、オーラ」

小生(MO)「オレオレ詐欺?いやオラオラ詐欺か」

男「忘れたの?高橋だよ。高橋」

小生(MO)「いかにぼんやり生きてる小生といえども、あぁっ二中で三年間同じクラスだった高橋雄吾かぁ!などと自白したりはしないのである」

男「ほら。高橋雄吾。熊谷二中で3年間ずっと同じクラスだったっしょ?思い出した?」

小生「(驚いて)ゆっちー?」
男「なつかし〜その呼び方。ゆっち〜、言われてたね。そうだね。ゆっち〜。確かに」
小生「ゆっち〜。久しぶり!元気?」
男「元気元気須藤元気。ガハハハハ」

小生(MO)「ギャグのセンスとは先天的な物で、齢(よわい)を積み重ねても鋭くなったりしないのか。しかしこの男。なにゆえ連絡も途絶えてた小生に」

男「見たよ。テレビ」

小生(MO)「そういう事か」

男「いや〜。すごいね。悪玉賞?」
小生「芥川賞」
男「ま、どっちでもいいけど賞取って、作家先生として活躍してるって、そんけーする」
小生「ゆっち〜は。まだ」
男「やってるやってる。今日もこれから路上お笑いライブやるのよ。良かったら来て」
小生「申し訳ないけど」
男「わーってる。サバってるんでしょ?」
小生「サバってる?」
男「サバ缶。つまり缶詰〜。アハハ、アハハ、アハハ……。(溜息)いや、良かったよ。子供の頃の夢をさ。叶えた人が近くに現れてさ」
小生「ゆっち〜?」
男「努力は報われるんだって、思えるっしょ。ね。だからありがとう。んでもって、おめでとう。……。じゃ。また」
小生(MO)「言うだけ言って電話は切れた。頑張りたまえ。さすれば君の夢もいずれは叶う。そんな言葉をかけるべきだったか。
 小生は今も悩んでいる」

                 完