遅くなりましたが、三月読んだ本は以下の通り。
ミステリー強化月間でした。

愛おしい骨 (創元推理文庫)

オススメ度☆
結構評価されている作品なのですが、個人的には楽しめる部分がありませんでした。主人公とヒロイン?の過去にあった確執とか、死んだ弟と主人公の関係性が最後まではっきりつかめないんですよね。
解説を読むとそれがウリらしいのですが、うーーん、結局誰にも肩入れできずに進むので「だからどうしたよ?」という気分に段々なってしまうのですよ。
もうそんな昔の事件ほっとけば?みたいな……。

人間の尊厳と八〇〇メートル (創元推理文庫)

オススメ度☆☆
程よいボリュームと軽い作風で、パズル間隔で謎解きを楽しめる短編集。
口当たりはいいので、楽しく読めるのですが、読了後にスルーっと抜けていってしまって、思い返すとあまり書く事がないという印象になってます^^;
でも面白かった(多分)。

Xの悲劇 (新潮文庫)

オススメ度☆☆☆☆
恥ずかしながらの初クイーン。本格ミステリーの巨匠という先入観があったので、トリックに特化した玄人好みの作品群だと勝手に思っていたのですが、
意外にも普通のエンターティメントでした(褒めてる)。

元役者で耳が不自由な探偵ドルリー・レーンのキャラが立っているので、トリック的に目新しさはなくても(古典なので当たり前ですが)楽しめる作品になっていました。

Yの悲劇 (角川文庫 ク 19-2)

オススメ度☆☆☆☆
ドルリー・レーンシリーズの第2作。
目・耳・言葉に不自由なヘレン・ケラーのような人物だけが、犯人と遭遇している、という設定が素晴らしい。
犯人に関しては割とすぐに判ってしまったのですが、
だからといって物語への興味が薄れる事はありませんでした。
探偵レーン氏のお茶目さが、Xの悲劇に比べると弱いかなという印象。

僧正殺人事件 (S・S・ヴァン・ダイン全集) (創元推理文庫)

オススメ度☆☆☆
クイーンと同時代の巨匠ヴァン・ダインの代表作。もちろん僕は初ヴァン・ダイン。

マザーグースにちなんだ連続殺人をホームズとワトソン的なコンビが解決していくという、既視感のある設定(古典なのでしょうがないのですが)。
クィーンのドルリー・レーン氏がお茶目な老人探偵というキャラ立ちする設定なのに比べると、こちらのヴァンス氏はちょっと普通すぎるというか優等生な感触。
結果物語としては、こじんまりとした感触を持ちました。

屍の園 桜井京介episode0 (講談社ノベルス)

オススメ度☆
徹底管理された全寮制男子校。転落事故で記憶が欠落した主人公が、その原因を追っていく内に、ついに犠牲者が……。
という展開。
んー、青春物として見るには登場人物の魅力が今ひとつ足りず、
ミステリーとして読むには、切れ味が鈍い(優しすぎる?)気がして、物足りない感がどうしても拭えませんでした。

叫びと祈り (創元推理文庫)

オススメ度☆☆☆☆☆
齋木という日本の若者(ジャーナリスト)が世界を旅する中で遭遇した事件をつづった短編ミステリー。
ほとんどの話に共通しているのは「誰が」ではなく「なぜ」という動機の意外性。
地域の特性、身を置いている環境、宗教といった個有の価値観がゆえに起こる事件の数々は、日本の常識からは考えられない事が発端になっている。
世界は多様性に充ちていている事。
違う価値観を持つ者同士が理解しあうのはとても難しい事。
エンターティメントの殻をかぶって、その事を厳然と突きつけてくる小説は初めて読んだ気がします。
単体で見ると「砂漠を走る船の道」「凍えるルーシー」の2編が、俺的に頭一つ飛び抜けてスゴイのですが「白い巨人」という一見地味な作品が、完読すると、全体を支える大事な部分になっていて、このエピソードがあるが故にラストの「祈り」という作品が胸を打つ。さりげなく構成の旨さも光ってます。

火星年代記 (ハヤカワ文庫SF)

オススメ度☆☆☆
初ブラッドベリ。
地球人が火星に現れ、入植していく様を、淡々と切りとった短編集。
タイトルから、もっとゴリッとしたSFを想定していたのですが(火星人と地球人の壮絶な戦い、とか)ふんわりとした語り口で、おとぎ話のような印象。
語り口が独特なので、好き嫌いがハッキリ分かれる気がします。
そのくせ「実際に火星に入植したら、こんな行動をしそうだよな」と思わせる変なリアリティもあり、血湧き肉躍るというタイプの作品ではないですが、面白く読む事ができました。
毎日少しずつ読むのに適してる感じ。