2013-08-12 20.00.48

18切符で四国を抜ける事にした。
9年間、高知詣でをしていて初めてのことだ。

当然一日では東京までは帰りつけないだろうけど、
帰ってやらなくちゃいけないことがないではないけど、
混じりっけなしの旅に出られるのは今じゃ盆と正月位だし、
少しぼんやりしてもいい筈だ。

そう自分に言い聞かせた。

本祭は昨日で終わったけれど、全国大会は残ってる。同じチームで踊った仲間の何人かは各々地元のチームで踊っている。
でもボクは急速に祭の熱が冷めつつある高知駅で、18切符を買うためみどりの窓口にいた。

ふと窓の外を見る。
同じチームのSさんが窓に張り付いていて、ボクに手を振っていた。
Sさんとボクは同じ年によさこいを始めた。2人とも他のチームに浮気をすることなく9年間踊り続けている。
(正確にはボクは2年参加してない年がある)
ボクもSさんも関東在中で、毎回「都内で一回飲みましょう」という話をするにはするが実現した事は一度もなくて、結局夏のこの時期に高知で再会する事になる。

数年前に僕ら2人とも鉄分が豊富な人種だと発覚してからは、同じ南風号で高知を離れ、祭りの余韻をポツポツと語りながら北上し、
阿波池田辺りで別々のルートで関東に戻る、というのが恒例になっている。
残念ながら今年のボクは18切符なので、特急南風号には乗車できない。

「また!」

という短い挨拶に握手を交わし、高知駅でSさんとは別れた。
Sさんは今日中に倉敷に、
ボクはとある理由で高松に向かった。

2013-08-12 17.37.01

2013-08-12 17.20.49

土佐山田を抜けると、電車は山の中へと入る。
クネクネと緩やかなカーブが続く。
途中からは併走する吉野川を眼下に見ながら、1人祭りの余韻に浸る。

祭の疲れでウトウトしている内に阿波池田についた。
ここで1時間の待ち時間。
フワリと駅前を散策した。

2013-08-12 18.16.33

琴平についた頃には既に日は暮れていた。
30分ほどの待ち時間。時間もいい頃合いだ。
夕飯を食べてしまおう、と改札を抜けるが、駅前にはこれといった店がなく、既に町自体が終了してしまったかのような暗闇に包まれていた。

しかたなく、ホームに戻る。
なぜか大量に風鈴が吊されていて、風に煽られ、時折涼しげに鳴いている。
近づいて良く見ると、一つ一つに願い事が書かれていた。

2013-08-12 20.00.48

2013-08-12 20.03.01

21時過ぎて目的の高松に着いた。
高知を出て既に6時間近くが経過している。琴平で夕飯を食べ損ねたボクは高松駅前をご飯処を探す。
琴電の駅近くで、徳島ラーメンの暖簾が目に飛び込んできた。
高知にも同じ系列の暖簾があり、演舞場へと向かう道すがら気になっていたボクは、迷わず食券を買い、店のドアを開けた。

店内は満席な上に、席が空くのを待っている客もいた。
ボクと同じようにバッグを引き、土産物を持っている。
紫色のTシャツに、プリントされたワッペン。
その形に……。
見覚えがある、というかボクが踊ってるチームのロゴ?
なんてことはない。

高知で別れたSさんだった。

驚き、そして予期しなかった再会に笑いあう僕ら。
店の人に相席にしてもらえるよう頼み込み、互いの本日のルートを報告しあう。
Sさんは阿波池田から琴電に乗り、途中で見かけた「温泉」の文字に抵抗できずひとっ風呂浴びてきたらしい。
これから倉敷へ向かうのだと言う。

「このラーメン、行きに食べたんですけどハマッちゃって」
そう言いながら生卵を麺の上に落とすSさんの顔は、給食を待つ小学生の様だ。

ボクは中ジョッキをグビグビとやり、面白いなぁ、と思っていた。