終始「私」という語り口の地の文と、「俺」と言ってる会話文との落差が、現役高校生探偵が背伸びしてる感を醸し出している。
太田さんの作品では一番好きな甘栗君の二作目。
まず甘栗という名字がジュブナイル的にとても素晴らしいと思う。

普通の高校生が出来る範囲の捜査(つまりたいした事はない)と、
行動範囲(常に移動はチャリ)でそれなりにしっかりとしたハードボイルドになっていると思う。(ハードボイルドに詳しいわけではないのですが)

作者のお膝元、名古屋を舞台にしているので、とにかく名古屋の描写がものすごく細かい。
この辺のディテールの積み上げが、決してフィクションとして大きな事件が起きない物語なのに、そうと感じさせず最後まで読ませるのに大きく貢献していると思う。この本を読むと、コメダ珈琲に行きたくなります。

正直、派手な展開でも、斬新でもない作品なのですが、なんというのかな、温かい推理小説とでも言うんでしょうか。
端役に至るまで、登場人物が血が通った人間として存在しているので、大きな事件をでっちあげなくても、こっちが登場人物のその時々の人物の心情に寄り添えるんですよね。

三作目も、僕はとても期待してます。