Short Film (上映時間:9:16)
(より大きなサイズでご覧になりたい方はyoutubeへどうぞ)
Script
最終的に形になった物と見比べてみるのも、面白いかもしれません。
覚えていませんが、それほど変わっていない(はず)
(PDFで見たい方、こちら想定キャストが一部実際の作品と異なります)
〇風鈴
窓べに飾られた風鈴。
チリンと鳴っている。
タイトル『著者近影』
〇井上の部屋・居間
和室。小さな机。ノートPCの奥には辞書。
壁のクリップボードに貼られた太田の記事とサイン。カレンダーには特定の日付に〇印。
机の上に破れた封筒と便箋。
『受賞のお知らせ。井上様の作品が優秀賞を受賞しました。つきましては受賞の言葉と、著者近影としてお写真を一枚お送りいただけますでしょうか?』
〇インスタント写真機・中
緊張した面持ちの井上康之(38)。Tシャツ姿。
カシャリ。
〇同・外
カーテンの隙間から漏れる光。
〇井上の部屋・居間
証明写真を目の前にかざす井上。
写真を持つ手をずらす。
その奥、壁に貼られた太田の記事。
『第12回したまちミステリ大賞大賞受賞太田明彦さん』
格好よく映っている太田。
井上、写真を持つ手を戻す。
冴えない自分の証明写真。
釈然としない表情の井上。
写真をずらす。
戻す。画面白く。
〇同・洗面台
鏡に向かってかっこつけてる井上。
ブラシで髪をなでつけたり、皺を引っ張ってみたり。
井上、わざとらしく鏡に向かってかっこつけてみる。納得。
〇同・ダイニングキッチン
凸の字の形をしたキッチンスペース。凸の字の先端が、洗面台。井上。かっこつけている。
井上、洗面台から、居間へ。
三脚と、荷物を持って、そのまま外へと出て行く。
〇道
三脚を小脇に抱えて井上が歩いていく。
〇公園
デジカメを操作している井上。
カメラの先には、ベンチがある。
井上、シャッターを押す。
小走りでベンチに向かい、座る。
ちょっと悦に入った表情。
シャッターを切る音。
小走りで戻ってくる井上。
カメラのモニタを見る。釈然としない。
× × ×
シャッターを押し、再度ベンチに座る井上。
カシャリ。
井上の写真。
カシャリ。
別カット。
カシャリ。
別カット。
モニタを見つめる井上。
ガリガリと頭を掻く。
〇道
三脚。ビーチチェア。浮き輪を、ポンポンとトランクに入れる井上。
車に乗る井上。
車、走っていく。
〇車内
運転する井上。
〇海
〇砂浜
海を見ている井上。サングラスにTシャツ、ハーフパンツ。手にはビール。
ビーチチェアにゆったりと身を横たえている。
カメラ目線で、ニヤリと笑う。
カシャリ。
〇井上の部屋・居間
写真がクリップボードに張られている。
少し離れた井上、腕組みしながらボードを見ている。
太田の記事の脇に、これまで撮った写真が貼られている。
釈然としない井上、視線を太田の記事に向ける。
喫茶店で執筆している太田の写真。
『行きつけの店を持つこと。それが作家の個性とひらめきを融合させる』
写真とコピーを交互に見る井上。
井上「!」
〇喫茶店・外観
井上、走ってきて店内へ。
(カメラ逆から近づき、井上に迫る)
〇同・店内
入ってきた井上、ハァハァしている。
ウェイトレス、キョトンとした顔で井上を見る。
軽く手を上げる井上。
× × ×
カメラを構えるウェイトレス。
執筆している風の井上、カメラ目線。
シャッターを切るウェイトレス。
モニタを確認するウェイトレス、笑う。
井上、カメラを受け取りモニタを見る。
再度、ウェイトレスにカメラを差し出す。もう一回!という合図。
ウェイトレス、カメラを構える。
井上、近くにと手招き。
ウェイトレス、どんどん近づき、井上の向いの椅子に座り、シャッターを切る。
カシャリ。
カップを口元に運ぶキザな感じの井上の写真。
モニタを見る井上。釈然としない。
ウェイトレス、手を差し出し、カメラを要求する。井上、カメラを渡す。
ウェイトレス、二人が同時に入る様にカメラを構え、シャッターを切る。
カシャリ。
笑顔を作るウェイトレスとあたふたとしている井上の写真。
カシャリ。
二人、各々決めている写真。
カシャリ。
頬にキスをするような格好のウェイトレスと、だらしなく緩む井上の写真。
〇井上の部屋・居間
だらしなく緩む、井上の写真がボードに張ってある。
カメラ引く。これまで撮った写真がボードに貼ってある。
肩を落とし、首を何度も横に降る井上。
井上、写真を一枚一枚、はがしては投げ捨てていく。
ボードから写真が無くなる。
ガリガリと頭を掻き、座り込む井上。
チリン。
井上「!」
チリン。
顔を上げる井上。
窓にぶら下がる風鈴。
風がカーテンを揺らす。まるで何かを呼び込む様に大きくたなびくカーテン。
井上、視線を室内へ。
〇同・同(回想)
井上のカタナメ。
洗濯物を畳む史子。
顔を上げ、机に向い笑みを投げる。
洗濯物を持って出て行く。
× × ×
史子、買い物袋を提げて、来る。
片手に持った風鈴を、机に向けてかざす。窓を指差し、歩み寄る。
史子、一歩歩くごとに薄くなり、消える。
× × ×
部屋中に散らばる紙くず。
史子、部屋に来て、苦笑。
机に向い何事かをしゃべりながら、紙くずを拾う。
× × ×
史子、正座し、まっすぐ前を見ている。
少し、お腹がふっくらしている。手、お腹の上に。
井上、そそくさと来て、史子の脇に座る。
チラリと、史子のお腹を見る。
井上、史子、お互いを見て、笑う。
カシャリ。
笑顔の井上と史子。
(回想終わり)
〇井上、史子の写真
〇同・同
机の上の写真を見つめていた井上、室内を見回す。
チラリと写真に視線を向け、笑う。
チリン。風鈴が鳴る。
× × ×
カメラをいじる井上。ワイシャツ姿。
シャッターを押し、机の脇に座る井上。
井上「(机を見て)」
史子のフォトフレームを引き寄せる。
まっすぐカメラを見る井上。自然体のほがらかな笑み。
カシャリ。
〇記事
史子の写真を傍らに置いた井上の写真。
『亡き妻と、この部屋があったからこそ出来た作品です』的な寄稿文のタイトル。
カメラ、井上を写した写真によっていく。
完

















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