Short Film (上映時間:16:00)
(より大きなサイズでご覧になりたい方はyoutubeへどうぞ)
Script
最終的に形になった物と見比べてみるのも、面白いかもしれません。
覚えていませんが、それほど変わっていない(はず)
(PDFで見たい方、こちら想定キャストが一部実際の作品と異なります)
『ごくごくフツーの』
○学校・教室
絶句する韮崎保(三四)の顔アップ。
巨体。猫背気味。
四方津の声「やっぱり変だよね?」
韮崎のN「……ばれた?」
四方津の声「変だよね?……オトコをさ。好きになっちゃうってさ」
韮崎のN「(視線をそらし)ばれたのだろうか」
韮崎、ちらりと四方津を見る。
四方津優(一七)。
まっすぐ韮崎を見つめている。韮崎、視線をそらす。
四方津「先生?」
韮崎のN「(首を横にふり)いや、ありえない」
韮崎、四方津の頭を軽くはたく。
四方津「った!」
韮崎「(横柄に)四方津くん。ふ、ふざけた事言ってないで、暇なら早く帰りなさい」
四方津「ふざけてないよ!」
韮崎「ふざけてるだろう?先生、そんな趣味ないよ」
四方津「先生の話なんかしてないよ!俺!」
韮崎「ん?」
四方津「俺」
韮崎のN「……なんと?」
四方津「……(うつむいて)俺が!好きになっちゃったみたい。オトコの人を」
韮崎「……。君が……。ゲイ?」
四方津、コクリとうなづく。
◯タイトル『ごくごくフツーの』
○学校・教室
韮崎「ゲイ?」
四方津、コクリとうなづく。
韮崎、後ずさり。
四方津「先生?」
韮崎、あやふやな笑みを浮かべ、教室を出て行く。
四方津「先生!」
○同・廊下
ドアを開け、出てくる韮崎。
四方津の声「先生。待って!。先生」
韮崎、ドアを閉め、もたれかかる。
韮崎のN「神は」
韮崎、両手をガッと高く掲げる。
韮崎のN「いるっ!」
ゴールを決めたサッカー選手の様に喜びを表現する。
韮崎のN「この道に入って、はや十年。いい出会いなんか一つもなかったこの僕に」
四方津の声「先生?」
韮崎のN「神は素朴な少年との純愛を用意してくれていたとは!」
韮崎「ぐふふ」
四方津の声「先生」
韮崎「!(ハッとして)」
 目の前、四方津が韮崎を見つめている。
韮崎「おぉ、四方津……くん」
手を下ろし、何気ない風を装う韮崎。
四方津「やっぱ、キモかった?」
韮崎、ブルブルと首を横にふる。四方津の肩に手をやり教室へ促す。
○同・教室
四方津の肩を押す韮崎。
椅子に座らせ、向かいあう韮崎。
ウロウロと落ち着かない。
韮崎「あ、相手は」
うつむく四方津。
韮崎のN「僕か?」
韮崎「恥ずかしがらないで」
韮崎のN「僕なのかっ?」
韮崎「四方津くん。(笑みを浮かべ)話してくれないかな?」
四方津「初狩くん」
韮崎「そうかそうか、やはり……え?」
四方津「隣のクラスの。判る?」
○教室(回想)
初狩舞都(一七)一人勉強している。
何かに気がつく初狩。顔を上げ、ニコリと微笑む。
少女漫画の様に初狩の周りに咲く花。
○同・教室
よろめき、机に手をつく韮崎。
韮崎のN「かなわない」
ヨロヨロと椅子に座る。
四方津「……でさ」
韮崎「……(床を見つめている)」
四方津「気持ち、伝えようと思うんだけど」
韮崎「(驚く。床を見つめたまま)」
四方津「どうかな?」
韮崎「……」
四方津「せんせぇ?」
韮崎「(フッと笑う)」
四方津「なんか言ってよ」
韮崎「してみたら?」
四方津「(驚く)」
韮崎、顔を上げる。
韮崎「気持ち。ちゃんと伝えてみたらどう?」
微笑む韮崎。
韮崎のN「僕は知っている」
○学校・廊下(回想)
かすかに開いたドアの隙間。
韮崎、中をのぞいている。
初狩と女のイチャイチャする声。
韮崎のN「初狩はノンケ。四方津の告白は身を結ばないだろう」
○学校・教室(回想)
四方津、教壇に座り黒板に落書き。
韮崎の声「四方津」
四方津、ハッとなり、振り向く。
韮崎がドアの前に、立っている。
 韮崎の顔に、優しげな笑みが浮かぶ。
四方津「駄目だった」
力なく笑う四方津。
韮崎「(近づき)僕がいる」
韮崎の手が、四方津の腕をつかむ。
四方津「!(ハッとする)」
韮崎「僕が君を幸せにする」
四方津の手にしたチョークが落ちる。
四方津「先生」
韮崎「四方津」
見つめあう二人。
韮崎の顔がゆっくり四方津に近づいて
○アパート・韮崎の部屋(夜)
大きく開く韮崎の口。
特大のホットドッグを頬張る。
カウンターに肘をつき、顎を乗せている、女装のオカマ石和康祐(三七)。
石和「さいてー」
手の甲で口を拭う韮崎。スウェット姿。
韮崎「……本人が告白したいって言うんだし」
さして大きくない部屋で、小さいテーブルの上に乗ったノートPCに、大きな体を丸め、語りかけている韮崎。
石和は、実はSKYPEのテレビ電話に写った映像。
石和「上手く行かないの判ってんでしょ?」
韮崎「う、うん」
石和の声「つまりそれは、恋に破れた心の隙間につけこむって事でしょ?」
韮崎「傷ついた心の支えになりたい、的な?」
石和の声「そこまでして、相方がほしいの?」
韮崎「誰だって幸せになりたいでしょうが」
ドア開く音。
石和の声「客だ、切るわ。いらっしゃーい」
通話、切れる。
音のしない一人の部屋。
韮崎、ホットドッグを食べる。
石和の声「そこまでして、相方がほしいの?」
韮崎「(ポソリと)欲しいよ」
 ズズと、ストローからジュースを啜る。
○学校・全景
○同・教室
四方津、机に尻を乗せている。
大きく息を吐いたり、パンパン頬を叩いたり、落ち着かない。
ドアの開く音。
ハッとなり顔を上げる四方津。
初狩「遅れてごめん。何、話って?」
初狩、ニコリと笑う。
◯同・廊下
韮崎、男子トイレから飛び出す。
ドアに貼りつく。怪訝な表情。
コッソリとドアを開ける。
出来た隙間から初狩と四方津の姿。
うつむいている四方津。
初狩「四方津くん?」
四方津「……」
初狩「この後、生徒会の会議なんだけど」
四方津「……」
韮崎のN「なにやってるんだ」
四方津、ゴクリと息を飲む。
韮崎のN「さっさと言わないと」
初狩「……。ごめん、行くね(手を合わせ)
話まとまったら、また呼んで」
初狩、四方津に背を向ける。
四方津「好きだ」
韮崎、ニヤっと笑う。
固まる初狩。振り向き四方津を見る。
四方津「初狩くんのことが好きだ」
◯同・教室
四方津と初狩。
沈黙。
初狩、四方津を見ようとしない。
四方津「……初狩くん?」
初狩「気安く名前呼ぶなって」
四方津「!」
初狩、ため息。
初狩「ハッキリ言うね」
四方津、うなづく。
初狩「(顔を上げて)キモイ。ちょーキモイ」
初狩、四方津を睨む。
◯同・廊下
韮崎、眉間にシワをよせる。
◯同・教室
四方津「……だよね」
初狩「凹んでる?まさかうまく行くなんて思ってないよね?」
四方津「そんなこと」
初狩「ないから。フツーないから、そんな事」
四方津、苦笑い。
初狩「マジ勘弁してよ」
◯同・廊下
韮崎のN「初狩の奴!」
◯同・教室
初狩「野郎にコクられて、ごめんなさいしたら凹まれて」
四方津「……」
初狩「けっこう迷惑」
◯同・廊下
韮崎のN「もう少し優しさがあってしかるべきだろうが」
韮崎、拳を握る。
◯同・教室
四方津「……ごめん」
憮然とした表情の初狩。
初狩「こういうの。二度としないで」
四方津「……」
初狩、ドアへ。
◯同・廊下
ドア開き初狩、出てくる。
廊下を歩いてく。
後を追う韮崎。目が怖い。
ずんずんと初狩に近づいていく。
バキバキと指を鳴らす。
韮崎、今にも襲いかからんと、ガッと両腕を高くかかげる……。
初狩、振り向く。
韮崎「!(固まる)」
初狩、まっすぐ韮崎を見る。
韮崎「……」
韮崎上げた両手を組み、ストレッチ。
韮崎「おいっちにぃ、さんし!」
初狩「聞こえてたでしょ?」
韮崎「おいっちに、さんし!」
初狩「さっきの。聞こえてたんでしょ?」
韮崎「ハハハ、なんの事かな」
初狩「誰にも言わないでくださいね」
韮崎「ハハハハ」
初狩「僕も言わないんで」
韮崎、運動やめる。
初狩「さすがにちょっと可哀想だし」
韮崎「……」
初狩「勇気ありますよね、アイツ。校内中に、キモイとか、ウザイとか言われるかもれないのに……、告白とか」
初狩、一礼して去っていく。
遠ざかる初狩の背中を見送る韮崎。
韮崎のN「何をやってるんだ俺は」
力なく、落ちる腕。
苦々しげに、韮崎、下唇を噛む。
○同・教室
四方津、机に尻を乗せている。
ボンヤリと、宙(黒板)を見ている。
◯同・教室・外
ドアの前に立つ韮崎。
ドアノブをつかみ、迷う。
 韮崎、ドアを開ける。
○同・教室
ドアの開く音。
四方津、チラリと視線を投げる。
韮崎がドアの前に立っている。
四方津「ダメだった(力なく笑う)」
韮崎「……泣いてもいいけど」
四方津「泣かないし」
韮崎、フッと笑う。
四方津「予想してたけど。やっぱキツイね。ハッキリ、キモイ言われると」
韮崎「ごめん。僕が、炊きつけたから……」
四方津「(笑って)ホントだよ」
韮崎「……」
四方津「マジにしないで。判ってたし」
韮崎「四方津」
四方津、視線を窓の外へと向ける。
四方津「上手く……いかないだろーなって」
韮崎、チラリと四方津を見る。
 潤む四方津の瞳。
韮崎「泣いてもいいぞ」
四方津「……泣かないし」
四方津、手の甲を鼻にあてる。
韮崎「ホントに、ごめんな」
四方津「……」
韮崎「……」
四方津「シアーセになるってさ」
韮崎「?」
四方津「意外と難しいね」
韮崎「……」
四方津「二人で笑ったり、手繋いで歩いたり。ジュースどれにするかで喧嘩したり」
韮崎「……」
四方津「欲しいのは、そういう、ごくごくフツーのシアーセなんだけど。難しいね」
韮崎、窓の外を見る。
遠い目。
韮崎「難しいね」
窓の外をみている二人。
◯暗転
エンドテロップ。
◯学校・全景
テロップ「4日後」
四方津の声「やっぱさ」
◯同・教室
韮崎と四方津。冒頭と同じポジション。
四方津「俺のシアーセには、オトナのほーよーりょくが必要だと思うんだ」
韮崎「いいから、用がないなら帰りなさい」
四方津「となると、年上だと思うんだよね」
韮崎「四方津くん」
四方津「先生とか?」
韮崎「え?」
絶句する韮崎。
◯CI
四方津の声「ジョーダン!」
完


















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